ふたりのαに娶られて【合本版】
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ふたりのαに娶られて【合本版】

鈴代

なぜ人は人を求めるのか、の答えがここに

2021年10月6日
バース診断により12歳で婚約者が決まったΩの流星。その相手であるαの愛之介が迎えに来た20歳の誕生日、義兄になるはずのαの志穏(しおん)による巧妙な計略と強力なマインドコントロールで事態は思いもよらぬ方向へ...。

堪能した。
最初は普通に読み、2回目以降は順に流星→愛之介→志穏→兄弟の父親→兄弟の母親→叔父...と読む毎に1人の人物だけに感情移入してその目を通して物語を"経験" し味わった。それから作者の目線になり、なぜここでこのコマを置き、ここで彼にこの表情をさせたのか等に思い巡らせ、どんな思いがあってこの形で作品にしたのか感じ取ろうとしながら読んだ。そうしてもう一度、全員の心情に気持ちを寄せながら通し読みし、あぁ味わい尽くした、読んで良かったと改めて思った。実に9回、ここ最近では最も多く読み返した作品。

何がそんなに自分を駆り立てたか?
それは、「なぜ人は人を欲するのか?人を欲しいというのはどういうことなのか?」という永遠の問いに対する1つの答えが描かれているから。それを教えてくれたのは流星。究極にシンプルで明快なその答えを、順に辿り最後に読み返して確信した時、胸の中に涙が溢れた。

できれば、いつもの3倍くらい時間をかけてゆっくり読んでみてください。1人のΩを巡るα2人による"恋の鞘当て" という以上の何かを、きっと感じるはず。
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