花丸漫画 愛のはなし -恋のはなし2-
」のレビュー

花丸漫画 愛のはなし -恋のはなし2-

斑目ヒロ

ただそのひと言が言えなくて…

ネタバレ
2021年10月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『恋のはなし』の続編です。こちらの続編も最高に好きですねえ。もう全てが良いです。律との曖昧な関係性が続く中で、段々と独占欲や悲しみを抱き始めて、高校生の頃律に告白された時、YESと言っていれば今はもっと幸せな気持ちでいられたのかと後悔するちひろの心情の変化がとても好きです。自業自得なんだけど、それが過去のちひろの選択だったのだから仕方ないですね。律も律で、優哉というパートナーがいてもずっとちひろという初恋を忘れる事ができなかったんですよねえ。そんな状態で偶然ちひろと再会したら、もうそれはその時点で彼らの中の何かがリスタートするだろう〜という感じです。なので、3人での修羅場の後、ちひろがそれでも「好き」というひと言を最後まで律に言えなかったという事実は凄く辛かったです。カフェで会った後に「もう会わない 会いたくない」と告げ立ち去ろうとする律、そしてその去り際の律が振り向くまでのその数秒の間で、「まって」ではなく笑顔で「バイバイ」と言い放つ選択をしたちひろに胸が苦しくなりました。今度ははっきり「好き」だと自覚しているのに、また高校生の頃の後悔を繰り返すのか…と。今までは自分の自由のままに行動していたのに、好きだと気付いた途端に、臆病になってしまうんですね。いやー、人間の恋情っておもしろい。しかし!そんな別れ方だったからこそ、最後のあのラストシーンは本当に胸が昂り安堵のため息が出ました。。自分的には最っ高に心が満たされる終わり方でした。余韻も素晴らしいです。そして何よりもあのリアルな世界観が沁みました。現実世界どこにでもありそうな色恋沙汰ですが、こうして物語として改めて俯瞰して読むと、また色々深く考えさせられますね。そんな物語を描いてくださるヒロ先生の作品がまた更に好きになりました。
いいねしたユーザ20人
レビューをシェアしよう!