新装版 イルミナシオン
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新装版 イルミナシオン

ヤマシタトモコ

泣いちゃうじゃない。

ネタバレ
2021年10月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『恋の話がしたい』も大好きな作品ですが、また好きな作品が増えました。5つの短編集で、どれもポタッと一滴涙を落とすと、幾重にもひろがる波紋のようで、心にじわじわと広がります。こんなにも、心を掴んで離さない作品があるのかと、震えて止みませんでした。
『イルミナシオン』:恋ほどままならないものはない。思う人に思われず、思わぬ人から思われて、あぁ、なんて切ないの。それでも誰かを好きにならずにはいられないから、神様、どうか……う~ん、沁みるねぇ。
『ラブとかいうらしい』:まだ寒いベランダで肩寄せあって…暖かいのはきみのせい。そこに思いがあるんじゃないの?…
『ばらといばらと~』:これはとっても好きだな。ヤマシタ先生の作品の女の子は、颯爽として清々しくてカッコいい。見つめたその先に、傍観者でいられない彼女の強さに惹かれます。
『あの人のこと』:ある一人の男の子に関する6つの告白。予想だにしない展開に驚きと感動で溢れました。泣いちゃうじゃない。覚えていてくれてありがとう。最後の最後に泣けてくる。
『神の名は夜』:ヤクザものですが、そこに愛があります。自分の身体をはって守りたいもの。しびれます。
どれも余韻が強く残る素晴らしい短編集です。ハズレなしのおすすめです。物悲しさだけでなく、楽しく描かれた短い後日談で救われた気持ちになるのも、ヤマシタ作品ならでは!
レビューを繰っていくと、ズラリと並ぶフォロー様方に納得の高評価でした。ま◯様が「語り合いたい」と以前おっしゃったように、本当に語り合いたいヤマシタ作品です。
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