俺はニーチャ
」のレビュー

俺はニーチャ

三田六十

健気なニーチャに心を鷲掴みにされました

ネタバレ
2021年10月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作のみ全5話+描き下ろしで合計164ページ。表紙やタイトルは度々目にしたことはあったんですが何となく素通りしてきたんですが、今回出版レーベルさんのクーポン利用で購入しました。まず、他の方もレビューで書かれてますが、主人公のニーチャ(本名:希)の家庭環境が地雷の方は回れ右した方が良いかと思います。貧乏とか親がろくでなしというわけではないんですが、とにかく大家族(ニーチャは6人兄弟の長男)で、共働きの両親に代わりニーチャが食費のやりくりや幼い弟妹の面倒を見ていてかなり胸が痛みます。計画的に子供を作らなかった両親が生理的に受け付けない方は、多分ストーリーがどんなに優秀でも良作だとは思えないと思うので、そういった方は読むのを控えた方が良いかと。
さてさて、本作品は、食費のやりくりに奔走する高校2年の希が財布をすられて、財布に入っていた食費を取り戻そうと、安達さんが店長を務める風俗店でアルバイトをすることになって…というお話です。いやもう希が健気で一生懸命で頑張り屋さんで…。こんな男子高校生います?ぶっきらぼうな店長の本当の優しさに触れて、今まで抑えていた我慢とか寂しさとかを吐き出していくんですが、うんうん今まで良く頑張ったねぇと親心に見てしまいました。兄としてだけでなく、きちんと名前で呼んで自分を個人として認識してくれた初めての人が、優しい安達さんで良かった。安達さんも、こんな頑張り屋さんが自分の前でだけ弱さを見せてくれたら絆されて好きになっても仕方ない。ちなみに希が高校生なので、くっついた後もすぐに行為はないし、卒業式の後にやっと事に及んだ時も描写はサラッとなので、風俗店という設定の割にエロはかなり少なめでした。
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