マリアボーイ
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マリアボーイ

木村ヒデサト

木村ヒデサトワールド、大好きです

2021年11月2日
ヒデサト先生の『鬼は笑うか』が本当に本当に大好きで、こちらもクーポン値引きの機会に読んでみました。もう大満足です。僕の好みドンピシャでした。あ〜面白かった。
多くのレビュアーさんが書かれている様に、物語全体に広がる深刻さや痛みが、先生の独特な作風や絵柄、クスッと笑えるユーモア要素によって緩和されていて、意外と重くなり過ぎずに読める作品だと僕も思いました。個人的な好みとしては、もう少し痛みを追求してもいいな〜と思うところもあるのですが…それでもとても良かったです。
表題作、この表紙のヨシキの表情、まるで彼の全てを暗に物語っているかの様でとても意味深です。真っ裸に白いシーツだけかぶり、身体中血が滲んでいて痣だらけ。その痛々しい状態とはまるで対照的に薄ら笑いを浮かべたヨシキの表情……そのコントラストがめっちゃいい…。この表紙を見ただけで物語が回想される様で、とても好きです。彼の中に潜在する心情、そして同時に顕在する事実が矛盾として暗喩的に描写されている気がします。
同時収録作品『好きだよ、秘密だよ』は、ヨシキの弟なおとと、その友人シュウとの恋の話です。僕はどちらかというと表題作よりもこちらの方が好きかもしれません。ヨシキとなおととしゅう、3人の繋がりや関わり方、関係性がもうえっぐいえっぐい!もうどうなっちゃうの、君たち?という感じでした。しかし、そのドロドロと入り乱れたの状況の中で見出される彼らの純粋な愛だったり、想い、必死さに魅せられて、心を鷲掴みにされます。
僕の大好きなものがたくさん詰まった作品でした。Fig誌に掲載されている番外編も読んでみたいと思います。
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