このレビューはネタバレを含みます▼
山ノ内森魚は①部屋を出ること、②誰でもいいから結婚することの2つを決意します。結婚相談所の戸張先輩に電話をして指定されたお見合いの場所に行くと、2m近い金髪の美しい外国人男性が現れます。北欧出身のミーティアは、先輩が渡し間違えた地図のまま、森魚とのお見合いの席にやって来たのでした。森魚はその場でミーティアにプロポーズし、指輪を渡すと病院に向かいます。そこでは森魚のたった一人の身内である祖母が今にも息を引き取らんとしていました。お嫁さんだよと祖母にミーティアを紹介すると、ミーティアは祖母の痩せ衰えた手にキスをしてくれ、森魚はありがとうと涙を流すのでした。
何もかもすっ飛ばしたプロポーズから二人の関係が始まります。資産家の唯一の相続人である森魚が祖母の死をきっかけに10年に及ぶ引き籠りを解消し、ミーティアに支えられて一歩を踏み出します。お互いに片言の英語しか話せない二人が、通訳をしてくれる戸張先輩を交えてゆっくりと関係を深めてゆくのですが、この3人には、自分の起こした行動をきっかけに大切な人を亡くすという辛い共通の体験がありました。
クールビューティーなミーちゃんの静かな佇まいと優しさが、一人ぼっちで不器用な森魚にそっと寄り添います。絵本のようなタイトルがぴったりの独特な空気感を持つお話です。