メロンの味
」のレビュー

メロンの味

絵津鼓

それぞれの味わい方で

ネタバレ
2021年11月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「絵津鼓先生の新刊💕」と前情報入れずに読んだんです(読み放題の雑誌も我慢して)。心に響きすぎて、浸透しすぎて、飽和して、何だか「無」になってしまって、こういう状態のときって、言葉どころか涙も出ないものなんだなと分かりました。そして、時間をおいてようやくレビューを書こうと思ったら、表紙を見ただけで涙があふれてきて、「わわわ💦」となりました。大好きな作者様でしたが、それを越えてしまいました。この作品を届けてくださったことに、フォロー様方、レビュアーの皆様と同じく、感謝の気持ちでいっぱいです。
前向きな気持ちだけをもらったわけではなく、正直、とても胸が痛くて苦しくもあります。それは、ずっと「寛解」という状態と付き合っていくことが分かっていることも理由の一つですし、渦中の人を思うと、「ああ、良かった」と物語と一緒に心を完結させることができないからです。これはもう個人的事情によるものなので仕方なく…。
木内さんが中城くんに伝えた「癒された」という気持ちの得方は人それぞれで、何が癒しになるかも人によると思います。ただ、この本の中には、そのヒントがたくさん散りばめられていて、人によっては、えぐられるような痛みを孕みながらも、それでも、希望を与えてくれるのではないかと、そう思います。あ、書きながら涙出てくるパターン…。
自分の目に映る世界が歪んで、その世界に自分がいてはいけないような、その世界から消えてしまいたいような感覚は、正直思い出したくはないけれど、この作品を読めたことは本当に良かったです。
中城くんの背中をペロッと味わう木内さんの姿に、曖昧な関係性ながら、そこには2人だけの確かな温もりを感じて、とてもいいなと思いました。そして、木内さんの告白。時間は偉大ですが、時間だけでは解決できないことがあって、改めて出会いって大きいなと思います。優しく寄り添え合えたら、と思うと同時に、猫の温もりやあの人の歌声や誰かのメッセージや、こんな風に本との出会いが、拠り所になったりもするな、と思っています。作者様のあとがきにも触れ、たくさんの方がこの『メロンの味』をそれぞれに味わうことができたら、一ファンとしてとても嬉しいな、と思います。
個人的に、たこ焼き屋ケンちゃんにまた会えて嬉しいです❤
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