MONKEY PUNCH
」のレビュー

MONKEY PUNCH

寿たらこ

初めての“痛み”と“快楽”は初恋誘発薬剤

ネタバレ
2021年11月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★双子の基親と宇隆の兄弟ゲンカストーリー。

★親の離婚で離ればなれになった基親と宇隆が会えるのは、1週間に1回、郊外の病院で。引き離されてぽっかり欠けた痛点が、互いの接触の中だけで正常に機能する。医者は「2人を一緒に育てるか、親がそれぞれに愛情をもって接するか」と言ったのに、どちらも果たされなかった…。

★実の兄弟なのに、男同士なのに、とか、どうでもいいなと思えます。「だから何?」「2人のこと邪魔しないで」と、気付いたらそう思っていました。なぜ、彼らは“痛み”を選んだのかな、なぜ“痛み”を欠落させたのかな、と考えると、それは、“痛み”がダイレクトに“生”に繋がっているからかなと思います。実際、痛みを失くした彼らは、“生”を感じることも曖昧で、互いの喪失によって生きる意味を見出せないようです。殺し合い、互いに痛みを与えることが、「俺がいるからこその生きる痛み(意味)を思い知れ!」と言っているようで、レビューにある「生かし合い」だな、と思いました。彼らの関係性に名前なんて必要あるのかなと思うのですが、彼らはとても臆病で寂しがり屋のようで、「好き」を交わし合って、「愛」を確かめ合いたいのでしょうね。可愛い2人だなぁと思います。

★表題作のみ69ページ。イケフェイスな双子が殺し合いと求愛をしています。壮大な兄弟ゲンカ。

★紙版の短編集から抜粋して電子限定配信されているうちの1つで、“麻美”の話が『純愛ウイルス』です。
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