はだしの天使
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はだしの天使

野ノ宮いと

これは編集部が悪い

ネタバレ
2021年11月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ ごめんなさい、過去一辛口です。

冒頭が面白さのピークでした。

まず、このお話には2つのネックとなる要素があります。
「堕天した理由」と「はだしの天使に靴を作ること」です。
まず堕天した理由ですが、「なんとなく」でした。これはまだ分かります。人間の魂に触れてはいけないのは、人間に興味を持ってしまうから、という言い伝えの本質が描かれていますし、堕天することで興味をもった人間界で暮らしていけますから、出会いのきっかけとして十分役割は果たしている。

しかし、もう1つの「靴を作る」の方も薄い。
このお話は展開で魅せるというより会話や表情に重点を置いているようですが、靴職人の話なのだから話してる最中に靴を作っている描写が写り込むだけじゃ物足りないです。
会話ばかりだから感情がみえづらいし、靴にフォーカスが当たるのは仮靴が出来るまで。実際に靴を履いて旅に出る時は靴にスポットライトが当たらず上半身やターナーを写したコマばかり。
途中で軌道修正したとのことですが、見せ場もなければ展開に抑揚もなく起承転結の起承で終わった感覚です。

しかし、デビュー作とのこと。話を作り慣れていない間はそうなるのも仕方ないと思います。だからこそ担当や編集部が、きちんと構成を練るところに時間をかけ、話に抑揚が出るようにサポートするべきだったと思います。

結局、旅から帰ってくるシーンは描き下ろしに回されており、本誌を読んだだけではこれで終わりなの?続くの?と分からないと思います。
続編が出るようですが、これからなにを描くというのでしょう。無理やり締めたせいで後から付け加えても回想編のようになってしまいます。

靴を作っているターナーが、どんな想いで、具体的に靴のどの部分をどうやって作っているのか、もっと見たかった。ターナーがベンジャミンと出会う前のこと、ベンジャミンがモデルをやったときの気持ち...ベンジャミンの天使の頃の名前は結局秘密のまま??

表情を多く描いている割に単調な表情で感情が見えてこない。不思議ちゃんのようなベンジャミンだからこそ、もっと気を配って表情や仕草、モノローグで魅せて欲しかったです。

絵はとても素敵で、描かれる線も魅力的、設定もオリジナリティが感じられます。この先生は周り次第で大きく化けるはず。編集部はちゃんとサポートしてください。
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