このレビューはネタバレを含みます▼
時代は恐らく明治、人魚の呪いを受けて生まれた年若い彫師の海が霊媒師のミカギと出逢います。海は半身に鱗の様な痣と人魚の右目を持って生まれ、周囲から化け物と疎まれてきたのですが、直助という彫師と出会い、痣の上に美しい入れ墨と海という名前をもらったのでした。直助の家で出会った妖魚の錦とクロと共に行動する海が、自称下級霊媒師のミカギの入れ墨を彫ることになります。軽くて調子のいいミカギですが、その背に決して人には明かさぬ重く苦しい業を背負っていました。直助の入れ墨によって生きる力を得た海が、ミカギにも生きていたいと思える入れ墨を彫ると約束します。お互いに惹かれ合う二人は肉欲を高める妖をきっかけに結ばれるのですが、その直後に海は拉致され、クロも捕まってしまいます。
きれいは汚い、汚いはきれい、ありのままを個性としてプラスにしてゆくのは心のあり方だと改めて思わされました。お互いをミッシングピースとする二人が、出逢って恋をして相手と自らを輝かせていきます。
海にいる人魚に、淡水魚である鯉と金魚の妖という組み合わせが面白可愛く、鯉の錦の仄暗い一発芸が愛らしいです。