神堕ち~最底辺の男たち~【電子単行本】
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神堕ち~最底辺の男たち~【電子単行本】

ともち

たぶん神さまとは生きていく為の心のよすが

ネタバレ
2021年12月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 金髪でグレーの瞳の蒼がヤクザの店の店長•朔夜に商品として拾われます。親に捨てられた蒼は、半グレチームでクスリを捌いていたのをヤクザに捕まり、朔夜のウラ風俗店で働くことになります。必死に逃げようとする蒼でしたが、朔夜に穏やかに諭されて、逃げずに頑張る決意をするのでした。やがて蒼は自分の苦しみを受け止めてくれる朔夜を神さまみたいに思うようになります。その朔夜もまた、かつて組長である煌にどん底から引き取られたのですが、その結果はクスリ漬けにされての暴力的な性行為の強要でした。それでも当時の朔夜は煌を神さまのように思い、生きる支えにしていたのでした。
クスリは嫌いだと言っていた朔夜が、煌に再びクスリと性行為を強要されている姿を見た蒼は、何とかして朔夜を救い出そうとします。
手近な優しさを愛だと思い、その相手を神さまのように思ってしまう、そんなどん底の環境と幼い心とが蒼と朔夜を通して描かれます。幼い朔夜の心に、その背のタトゥーよりも深く刻み込まれた煌の呪縛を、朔夜自らが蒼への想いで解き放ち、二人で迎えるラストは明るいです。クライマックスからラストにかけてがかなり早足な展開なので置いてきぼり感があるかもしれません。
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