午前2時まで君のもの
」のレビュー

午前2時まで君のもの

奥田枠

人は記憶で生きている

ネタバレ
2021年12月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 師走の朝、どーしても気になって夜が明ける前にポチり拝読。
もー!朝食作る母の目がウサギって家族からしたら一大事(笑)「泣ける本を読みました。これ以上聞いたらまた泣き出すよ!」と口をつぐませましたよ。

こりゃどうしたもんか私には苦しすぎて縋る正解が導き出せません。正解なんて幾通りもあるし、そもそも正解なんてないようなもので。
愛する人大切な人に誠実でありたいと願う、幸せにしてあげたいと望む。同じだけ自分にも誠実でありたい幸せになりたい。でも、自分に誠実に生きることは周囲を巻き込んで振り回すという現実がある場合、望むべきではないとジャッジしてしまう。
しかも、そう決意した自分が翌日には居なくなってしまう。砂のように指の間からこぼれ落ちてしまう毎日が、自分の明日が『無』であると感じた人は生きている事を肯定できるの?

親友恭一はその全てを、ミチの全ての箱になりたいと願ったんだろう。自分を後悔し絶望を糧に僅か一日の夜だけを欲しがる。それこそ『無』であるものね。
ミチがあまりにも真っ直ぐで明るくて良い奴で普通なだけに、胸に来るものがありました。
ミチのスマホの記録。
恭一がした事はいい事だったのか本当にザワザワする。だって灯は存在するんだから。

すごいな。
良い悪いは別として理解も共感もあるし、否定したい気持ちも疑問に思うところもありました。

私にとっては読み返す回数が増える度に新しい思考や疑問を提供してくれる作品です。
出会えて幸せ。
先生に感謝です。
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