理想じゃないけど君が好き
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理想じゃないけど君が好き

リオナ

結婚に求めるものとは…?

ネタバレ
2021年12月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新刊作者さん買いです。リオナ先生の作品はいつもどこかユニークで個性が光る感じなんですが、今作品も然り、ただの結婚BLではない何かがあったと思います。今回の作品は、同性婚が認められてゲイ向け婚活パーティーもあるちょっと進んだ世界が舞台。三十路目前で婚活に勤しむエリートリーマンの光成が、パーティーで理想の相手・新さんに出会うお話で、表題作のみ全5話+描き下ろしで合計201ページ。光成がそろそろ結婚したい理由というのが凄いリアルでした。一昔前みたいに何となく30歳までには結婚したいというふわっとした理由ではなくて、光成が結婚したい理由も辻褄が合うし合理的で凄い納得できました。家庭環境や過去の恋愛遍歴のせいで相手に求める理想が高いのにも納得できる理由があります。職場も同性婚に肯定的なすごい将来的な設定なのに、要所要所で現実的なので、設定がふわふわせずにリアルっぽく読めるんだと思います。将来性とか甲斐性だけでなく、結婚に求めるものが同じって本当に大事ですよね。新さんも光成も最初は異なっていた結婚観が、譲れない部分と譲歩していく部分を上手く刷り合わせて、ただ妥協するだけでなく寄り添い合ってゴールに辿り着くというのが、もうまさにリアルな結婚に至る過程そのものでした。光成の父親とのわだかまりや農家への苦手意識も上手く解消できて、とても良い読後感です。描き下ろしではあの上甲弁護士もチラッと登場し、嬉しいサプライズでした。
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