赤のテアトル
」のレビュー

赤のテアトル

緒川千世

読む度色々考える。

2022年2月2日
緒川作品で初めて読んだのがこちら(なのでてっきりこういう作風の作者様だと思い込んだ思い出w)。

万人には薦めづらいのは確か。さすがという感じでストーリーに矛盾はなく読みやすい。たださらりとした絵柄にエグい描写という、初見で読んだ時はそのギャップが堪らなかった。
エグい描写でも登場人物に感情移入はしないある意味一歩引いた目線で読めるので、あくまで読み物として接することが出来る。(逆を言えば、主人公に感情移入することができる方にはしんどいかも。)
自分はこれをBLジャンルにある漫画だと知っていたので、案外気楽に読めた。最初からこれは恋愛漫画だと思っていたので。ただ、ノンジャンルだったらまた違った感想を抱いたんだろうか。

"一人では歩けないハイヒール"という言葉が出てくる。ちょっとどきっとする。ナチュラルに男性中心の社会故にそういう言葉が出てくるのかな、と思ったり。どちらかというとハイヒールは武装に思ってた。かなり角度のついたハイヒールを履いた女性に並大抵の男性は声もかけられないんじゃないか?歩きづらいのは百も承知だが、例え歩きづらい靴だとしても美しく歩くのは一重に矜持では?ハイヒールは自信の補助器という持論。

登場人物達にとって、身体は道具そのもの。そのことに嫌悪感を抱くよりも、どちらかというと究極に思えた。身体という目に見えるものではなくて、魂を愛してるんだろう。魂を愛しているから、器はどうなっても良かったのかな。(度外視という意味でどうでもよかったというか。)自分はそう解釈したけれど、身体と魂は二位一体と思うと、とりあえずしんどい描写は多め。

かなり素敵なハッピーエンドと思うけど途中色々あるので、地雷がある方は要レビュー確認。

表題作ほかスピンオフ短編が入ってますが、そちらはかなりイイ笑。短編まで含めて面白い一冊でした。
いいねしたユーザ19人
レビューをシェアしよう!