嫌い、大嫌い、愛してる。
」のレビュー

嫌い、大嫌い、愛してる。

ARUKU

2つの孤毒な独白劇…のようです。

ネタバレ
2022年2月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★孫請け会社の人員整理役人・凍月×貧しい社員・奏の孤毒物語。(2/6までセールですよ)

★病気の母を抱えて住む場所を失いそうな奏は、個人的に融資をしようと言う凍月の条件に言葉を無くす。「自分が女なら…」「買ってくれる人がいるならば…」決意して凍月の要求をのむ奏だったが…。

★「ユニーク」と、どの作品を読んでも思う作者様。絵もユニークで、マリオネットの関節を想起して、「作者様の意のままね」と、その舞台に放り込まれた人々を鑑賞する…そんな距離感をとらないと、引きずり込まれて大変なのですよ。劇的な語り口はファンタジーのようでありながら、どこに転がっていてもおかしくないような、リアルな惨めさを突きつけてきますね。加速する加虐心と膨れ上がる復讐心。どうしよう…この綺麗事のない世界…と、独白主たちだけでなく、あちこちに散見する孤毒に当てられて「うっ」となります。「愛を知る?」「愛に変わる?」…嘘でしょう?と言い捨てられない読後の納得感が、もはや衝撃。

★描き下ろし含めて246ページ。描き下ろしの2人をそのまま受け止めていいのか、少し躊躇いました。それがまた後引く良さ…かなと思いました。

★ARUKU先生、前名義合わせて全ての作品を読んでいました。中毒ですね笑。「残酷って綺麗」…私が感じる作者様の世界のことみたいです。
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