愛日と花嫁
」のレビュー

愛日と花嫁

渚アユム

もし生き方を選べるなら?

2022年2月22日
(祝!デビューコミックス☆遅ればせながら…)
神様と人と種にまつわるオメガバース、最後まで描き切った充実感に溢れていました!
豊穣の神、太陽に対する敬愛と畏れ。神々の加護と人々の信仰の成熟した関係の確立。善良な種の保存と子孫繁栄(…古代ギリシアのエロスの姿は青年でしたっけ)新しい時代の始まり…。
もぅタイトルと表紙から妄想したイメージは、軽やかにいい方に裏切られます!

漆黒の翼を広げる神様クロの美しい幾つかのシーンが印象的。
「もし自分で生き方を選べるなら?」自問自答を繰り返す、聡明なルカ。理不尽な運命や迷える人々の心を軽々と超え、傷ついたクロの心に寄り添い自分らしく生きようとします。このΩの姿は大いなる大地、母性そのもの。「助けてやる」「ありがとう。助かる」そう言い合う神と人、2人の対等な関係が最後まで貫かれる奇跡に救われました。

タイトルに添えられた記号のような英語が、誤解しないよう理解を助けてくれて。渚先生は優しい方ですね。優しい冬の陽射しの中、笑顔の花を咲かせる春を待つ種。限りなく美しい物語でした。
いつか、ノア達それぞれの愛の物語が見られたら嬉しいです。
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