蟷螂の檻
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蟷螂の檻

彩景でりこ

業が深くて震えます。

2022年3月26日
深く沈む欲望は己を周到に人間の体で覆って潜んでいます。
体の中で根を張り、指先、眼球、吐息さえ我がものにできるまで深く深くひっそりと。

典彦の乾いて満たされない器は決して満たされることは無いのだろう。注がれて満たされたいものは注がなければ手に入らないと思うから。エロスであるゆえ。
対して蘭蔵はひたすらに与え続ける。全ての人に無垢な愛を。アガペーである蘭蔵と純粋で小さな子どものまま抱きしめてくれる温もりを両手を広げて探し続けていた育郎。なぜこのふたりが手を取り合えなかったのかと涙が出ます。

ラストに向かう数話は私も血を吐いたのでは無いかと思うくらい内蔵が捩れましたが素晴らしいものでした。
先生、凄いです。

レビューで知ったonBLUE掲載版からの加筆修正。業の深さが際立ちます。
onBLUE版もちろん読ませていただきました。パラレルワールドだと思えるほど典彦、育郎共に表現が異なりますね。

onBLUE作品、本当に傑作が多いです。
震えます。
※※痛くて酷くて救いがたい表現があるので素晴らしい作品ですが苦手な方はご注意されて読んでください。←結局読んで欲しいww※※
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