蟷螂の檻
」のレビュー

蟷螂の檻

彩景でりこ

最終巻、ありがとうございました😩。

ネタバレ
2022年3月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 襖の向こう側で、育郎さんが犯されている。その様子を耳にしながら覗くでもなく、膝を崩さず正座してジッとしている典彦さん。その上奥方をその場に呼び付け、育郎さんが家業の為に犠牲になっている所を確認させる。…そのシーンに典彦さん含めた父親からの、二代に渡って仕えてきた當間家歴代当主に対する怒り…當間家の業の様なものを感じました。それは代々当主が作ってきた闇の様なものなのかなと。。それを本家最後の当主 育郎さんが一心に受けている。きっと典彦さんの父親も同じ様に正座し、育郎さんの母親が先代当主とその政治家から犯されている様子を覗くでもなくジッと耳にして過ごしていたんだろうなと思うと、何となく典彦さんという人格もまた、當間家が作り出した業のひとつなのかなと、そのシーンで感じました

個人的にですが、そんな描写こそがBLじゃないかと😩感動してしまいます。とても芸術的で美しいなと。もしあのシーンで典彦さんが興奮して中の様子を覗いたら…それではただのエロになってしまう訳で。ジッと正座している彼を育郎さんも襖の反対側で感じていて、助けを求めるでもなく犯されている。それが女性ではなく美しい青年だからこそ耽美で、その図に純文学の様な尊さを感じました。…女とは取り引きできんよ、の捨て台詞…昭和😩

「蟷螂の檻」はフォローしている方々のレビューすら見れず、真っ白な状態からではないと読めない作品の1つでした。読み終わって作品レビューを眺めていると、26話の雑誌掲載と書籍掲載の内容を比べたレビューを拝見しました。何処となく2人のあの終わり方が喉につかえていた私は、雑誌掲載版も読みました(onBLUE vol.52)もう…😩 私は雑誌も含めてが26話かなと。雑誌の方を読んで、始めて2人が愛し合っていると感じました…泣 育郎さんの「こんな気持ちで…」の言葉がもう、大泣きでした

死を他人に託す事が出来た育郎さんは、愛されていたなと。典彦さんに自死はなく、ひとり歳を重ねながら生ていくのかなと。そうして感じる全ての情は、愛していると育郎さんを想い、それは彼の生涯を通して続く事なのかなと…最後はそんな風に感じました。実母が最期居た医療施設に最後に2人。典彦さんは満たされたと思います。

あの作品レビューがなければ、雑誌版を知る事が無かったかと思うと、本当に感謝です✨
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