COCOON
」のレビュー

COCOON

今日マチ子

ヒメユリの塔

2022年3月29日
戦争3部作の最初に描かれた作品です。
3部作中では最も共感を得やすい形で描かれています。
日本に於いて、戦争は色々な意味で遠くになってしまいました。
昭和だった頃は創作者が円熟する頃に、「あの戦争」を題材として表現する方が多かったのに、最近は少なくなったなーと感じていました。
昭和時代には実戦体験を生の声で聞く事も多くありました。
たいていは感情を一切含まない事実の羅列でしたが、心を閉じ込めないと語れなかったのだと思います。
それが今作の主人公、ひいては今作の語り口と酷似していると思いました。
………
日本では遠くなったと言いましたが、訂正します。
グローバルな時代となり、この地球上で必ずどこかで紛争や戦争の為に犠牲になっている人々の現実を、居ながらにして知る世の中となりました。
無力な私はその都度、戦争をしたいヤツだけその瞬間に亜空間に飛ばされてしたい分だけ己自身の身体で戦えばいいだろが!!と憤慨しております。
今の地球上では人はかつてない程に物質に満たされているはずなのに、この上何が欲しいのか?
ナショナリズムに頭を侵されたリアリストを、現在の私たちはリベラルな観点で見ています。
77年前には不可能だった事です。
もう30年もすれば地球上からチカラを持ったナショナリストは絶滅しているかもしれません。
プー◯ンと習◯平が最後のナショナリストであらん事を願って止みません。
どの時代のトップも、所詮は人間である限り己の欲に左右されています。
そして無力な犠牲者は、仕方がなかった、と受け入れざるを得ません。
………
今作品はまさに今が読みどきな、無力な人々のお話です。
これは明日の我が身になるかもしれない。
全編通して「マユ」(繭)のあり方と意味が、深く心に残るお話でした。
………
フォローさま方のレビューを有り難く拝読(再読)致しました。
皆様の素晴らしいレビューに、本編を読んだ時には流れなかった涙が溢れて来ました。
レビューって、本編を読む前と読んだ後でこんなに印象が変わるのですね。実感致しました。
本当にいつもありがとうございます。。。
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