はるのうららの
」のレビュー

はるのうららの

三崎汐

淀んだ世界で生きづらくとも春の光を想う

2022年4月3日
あーこれいい、すっごく好き。初読み作者さんでフォローしてる方々のレビュー高評価がなければ巡り会わなかった作品。いつもありがとうございます。13年発行で表紙が今風ではないかもしれないけど内容は全く色褪せません。
橋の欄干で川を見下ろし悩むのは自分だったかもしれない、思うようにいかない苛立ちと仄かな憧憬を内包する子ども時代の記憶。小学生から中学生にかけての成長する日々をゆっくり辿ります。大人の都合で振り回され、だけど子どもひとりでは生きていけないから息を殺して生きていく、大人の“普通”を植え付けられ網にかかって絡まったような息苦しさ、それぞれ傷みを抱えるふたりの“春”が出会い、淀んだ世界で生きづらくともうららかな春の光を想って一緒に歩いて行くことを子どもながらに強く選びとるお話。

この作品は13年発行で現在は商業雑誌では活動されてないようですが、別作品のレビューで教えていただいて作者さんのTwitterへgo。少しずつTwitterで掌編を発表されていらっしゃいます。独特の作風そのままのお姿拝見できて嬉しい。
いいねしたユーザ15人
レビューをシェアしよう!