僕のジェミニ
」のレビュー

僕のジェミニ

森川侑

薄茶色の置き忘れた文庫を開いて読むような

ネタバレ
2022年5月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ これ評価が難しい〜。ただいまセール中でフォローしてる方のレビューオススメで知りました。少女漫画枠で少女漫画です。(表紙の3人でラブは始まらないし、そういう読み方もほぼできない)
ジキルとハイドという表紙のふたごと、ふたごの入れ替わりに自分だけが気付けるジョンの3人が過ごす男子寮や学園での友情話。ふたごの片割れが既に死んでしまっているというショッキングな冒頭から始まって、もう取り戻すことはできない時、ふたごがふたりでいて輝いていた当時の回想を交えて物語は進みます。亡くなったはずの彼から手紙が届いたり隠していた秘密もあったりとミステリ要素もあります。
絵もキラキラしていてほんとうに素敵で、画面のインクの色も黒ではなく岩○書店の文庫表紙のような薄茶色で、書棚に置き忘れていた古本をそっと開いて読むように感じます。ただ読み終わって、すごく惜しいな〜と思いました。1巻であっさりとした種明かしと結末で終わってしまって、なんというのか驚きというか、カタルシスがなかった〜。難しい題材を描き分ける画力もあり、とても独特な雰囲気があって、いくらでも濃くできる設定もあったのに。もう少し長編にして3人をめぐる周囲の人間関係も掘り下げる展開が欲しかったです。
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