ハッピーエンドアパートメント
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ハッピーエンドアパートメント

えすとえむ

部屋の一つ一つに物語がある…

ネタバレ
2022年5月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ ラジオDJハビが大家のアパートメントは「カジェ・フェリス」通りの突き当たりに位置する。つまり、「幸せ通りの終わり」らしい。外観から察するに、4階建て12部屋のアパートメントのように思ったが、ルカによると部屋数は8つらしい。どんな住人がいるのかと気になる。冒頭から心つかまれる。小説スランプのルカが住人のハッピーエンドをでっち上げるてい(体)で話が進むのが面白い。

作者様の作風…絵もストーリーもとても好きで、少しずつですが作者様買いをしています。
本作もとても良かったです。それぞれのハッピーエンド…に至るまでのお話が、へんてこだったり(でも、めっちゃ深い)、他人には分かりにくい愛のカタチだったりしますが(でも、溺れるほど深い)、当人たちがそれを「幸せ」と感じれば、言葉通り「ハッピーエンド」です。そして、小説は終わっても、彼らは自分達の幸せを自分達で紡ぎ続けていく。
本編の閉じ方もとても好きでした。描き下ろしが余韻を壊してしまうことがありますが、これは良かったなぁと思いました。ハッピーエンドにホッとしたところで、少しの切なさを添えてくるのが、たまらないなと思いました。
ちなみにエチ描写はありませんが裸体はあります。愛があります。
***
このお話を読んで、アパートの部屋の数だけ物語があるんだなとその尊さに思いを巡らせました。連日目にする破壊された部屋の一つ一つにもかけがえのない物語があったかと思うと、喉の奥が締め付けられるような感覚になります。
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