ノイド~愛のすくう星~【電子限定描き下ろし付き】
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ノイド~愛のすくう星~【電子限定描き下ろし付き】

上野ポテト

ニアのパジャマの着方は良かったです

ネタバレ
2022年5月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 184ページ。
作者の言いたいことはわからないでもない。
差別へのアンチテーゼみたいなことですよね、たぶん。
ただ、私はこれを読んで、ノイドというのは恐ろしい存在だと思ってしまったんですよね……。記憶操作をしてノイドだと思い込ませるって、そんなことをするのが紛れ込んでるって、恐怖ですよ。そりゃあ人間側は不安にもなるしちゃんとした区別は必要です。
もしも自分のそばにノイドが居たら?記憶を操作されていたら?今の自分の記憶は本当なのか嘘なのか?アイデンティティーの危機です。作中では愛の力でなんとかなっちゃった展開ですが、なんとかならないと個人的には思います。
ノイドがどんな姿に変貌するのとか、ノイドが起こした事件であるとか、そういうものが全てぼかされており(そのせいで狩られるのが差別なのか妥当なのかの判断もできない)、SF好きとしては肩透かしだし、下手したらそういう事は掘り下げて考えられていない可能性もある。
あとは、同じノイドであるおばあちゃんがケイジの記憶を改竄したのが、どうがんばっても理解できなかったです。いつか受け入れてくれる人に出会ってほしいから記憶を消したってどういうこと……?おばあちゃんも仲間なのだと、理解してくれる人間(この場合はおじいちゃん)も居るのだと、ケイジに寄り添ってやれば良かったのに、やったことは真逆。満月の夜ごとに、繰り返し繰り返し自分がノイドである現実を突き付けられ、それを孤独のうちに耐え続けたケイジが可哀想でなりません。
まあ、逆転劇を見せたかったという作劇上の都合なんでしょうが、納得いかなすぎる。
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