銀座ネオンパラダイス
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銀座ネオンパラダイス

ウノハナ

終戦直後に設定した意味

ネタバレ
2022年5月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 銀ブラ、敗戦、君待てども、進駐軍、銀幕のスタァ……

なぜウノハナ先生はあの混沌とした血の涙の時代を背景にしてBLを描かれたのでしょう?
およそロマンとは似つかわしくない時代だと思います。
それなのに先生の描かれる男性が、しっくりと似合って息づいています。
………
壊滅的に蹂躙された後、日本と日本人の根幹を作り替えられた汚点とも言える時代です。
それだけ戦争は遠くになりにけり、ということなのでしょうか。
虫ケラ同然の命でも、個々人にとっては誰かの大切な命である。
待つ人を思い、還らないかもしれない人を思う。
とうてい美談にはできない生々しさを感じてしまいました。
その上で男同士の深い繋がり、男女だったら子作りの為だった行為(産めよ増やせよ…)が、純粋でかけがえのないモノとして映ります。
この時代だったからこそ感じられる尊さだと思いました。
一巻完結にして重すぎず引っ張りすぎず幸せに閉じているのもよかったです。
………
復興に向かうエネルギーの発露は、脇の女性小百合が牽引しています。戦後女は強くなったと言いますが、強くならざるを得なかったんですね。

当て馬は進駐軍の碧眼中尉ですが、リアルだったらとっくに葵は掘られていたでしょーね。
………
修正はホタルでした。
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