雷神とリーマン
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雷神とリーマン

RENA

一生心の奥底に置きたい物が詰まってる

ネタバレ
2022年6月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ これはもう、全人類に読んでほしい作品です。
BLかどうか?なんて論議も意味のない、ただ深い深い愛の話です。
こういう作品に出会ってしまうから、漫画読むのやめられない…

出だしのコメディタッチからは予想もしないほど、生命誕生からの長い長い悠久の時、その中に今いる自分、限りある命、人の一生とは…死とは……という壮大なスケールで思いを巡らせました。

所々雷遊の力強く真理をつく言葉にハッとさせられたり、大村の真っ直ぐで芯ある、でも優しい言動にジンワリきたり。
2人のやりとりにクスッと笑ったり癒されたり。
5巻に辿り着くまで、周りの人間関係も含め、2人の育んできた日々をしっかり描いてくれたからこそ、決断してからの日々も、最後も沁みました。
大村にとって、人間であろうとなかろうと、雷遊でなくてはいけなかった。
雷遊にとってもまた、大村という存在が唯一無二だった。

これまでの気の遠くなるような時の中で、数多の生命の生死を見てきたであろう雷遊が、ただ1人の生き死にに胸を痛め、涙した。
それは、雷遊(遊世)が確かに人間になった証ではないかと。
「諸行無常」という言葉が浮かんできましたが、孤独な雷神と人間の間に深い愛情があったように、それでも何かが確かに残る、と信じたい気持ちになります。

読みながら何度も涙溢れ、先が読みたいけど、結末を知りたくない、という感覚に久々に陥りました。
ご都合主義やファンタジーになりすぎない、リアル感ある最後は、涙涙……からのしばし物思い耽ること間違いなしなので、お時間のある時に、ぜひ。
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