スモークブルーの雨のち晴れ
」のレビュー

スモークブルーの雨のち晴れ

波真田かもめ

すごくすごく、続きが読みたい!

ネタバレ
2022年6月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 良い作品は導入部からこれは!と思うトキメキがありますね〜。
冒頭数ページでそのキャラの置かれた背景と気分が理解でき、俄然興味が湧いてきます。
絵と文字と書き文字がアンバランスなバランスをとりつつ自然に物語の流れに乗せてくれます。
今作のように最初の数ページで今後最後まで読みたいと能動的に思える作品は数多くありません。
波真田先生らしい専門的知識に裏打ちされたお話作りと、こだわったうるさくない背景、特に家と小物の描き込みはさすがです。(本当に凄い観察眼と再現性!)
その世界で動く人物は本当に生きて生活しているようにリアルです。
突飛なことはしない。寒い言葉は吐かない。
でも言葉少なな物言いは、言葉をかけられる人のバックグラウンドが見えてくるほどの思いやりに溢れています。
思っても安易に口に出さないというのは現実世界では当たり前なのに、こんな風に描かれると妙に「大人の恋愛」模様に映るのが凄く上手いな〜と思います。
人生のエアポケットに偶然同じ時空でハマったアラフォー同士が、過去の重さや痛みを抱えながら互いの接点を意識する空気が実に心地良い。
そこに有るはずの見えにくい熱と、惜しみなく描かれる優しさがそう思わせてくれるのでしょうか。
………
2巻拝読。色々動き出しました。
でも名前のない関係を性急に枠に押し込みはしません。降り積もるように重なっていく2人で共有する部分。不惑手前の恋愛心情が、臆病だからではなく達観からでもない、それこそ紫煙に巻かれるような曖昧さがやはり依然と心地良いです。
………
3巻拝読。人生の後半に入らないと実感できないだろう切なさや愛しさに溢れた巻でした。「家」に詰まったあれこれを「思い出」の一言で済ませたくない巻でもありました涙。それと、コレもう付きあってない?の巻でもありました。
3巻通して全部素晴らしいです!幸甚の至り。(辞書あるあるに共感笑)

修正は白ボカシです。
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