ハレとモノノケ
」のレビュー

ハレとモノノケ

言の葉で伝える力

ネタバレ
2022年7月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「ケガレ」というドキっと心が冷える単語から始まり、おどろおどろしい感じかと身構えるも杞憂に終わりました。のどかな世界観の中に寂しさや孤独、愛しさや温かさがじんわりと湧き出てきて、人もモノノケも関係なく人間らしくぶつかっていきます。初めは、言葉が多くてスマホでは読みにくいなと思っていたのですが、まさに言葉で紡いでいくストーリーと言っても過言ではない圧倒的素晴らしさ!!斜め読みするというような選択肢は全く生まれず、一言一句見落としたくないと凝視するほどの面白さ!!テンポが良くて思わず吹き出してしまったシーンばかりでした。不老不死でモノノケのトキはどう見てもイケてる兄ちゃん、もしくは売れないホストか元ホストって感じで、ウン百歳には到底見えず、対して八潮はまだまだ幼さが残る少年なのに悟りを開いている感じがあり、そんな2人の日常の生活が穏やかで優しく、私も愛しく感じました。
特に2巻ではエロティックな場面もあり、愛の熱量を大きく感じました。場面の切り替えもほんとに上手で、何気ない言葉の後にページをめくったら愛を育んでいる2人に遭遇するんですけど、萌えで悶えるというより、神聖なというか神々しいというか、美しくて泣けてくるんですよね!共に生きていくには覚悟が必要で、その覚悟と気持ちを確かめ合った2人の心からの笑顔にまた涙…。
温かい話なのに人の感情を多岐に渡って表現し、読者が入り込もうとする前に引き込んでしまう灼先生が本当にすごいです!吹き出しの中等の活字を読むのが楽しみで仕方なく、ページをめくるのにワクワクします。本の魅力が存分につまった素敵な作品に出会えたことに感謝!!
いいねしたユーザ16人
レビューをシェアしよう!