このレビューはネタバレを含みます▼
読み始めたら止まらない。4巻目でやっと伏線が回収されるのだが、その設定の面白さと立体的な美しい絵に釘付けになってしまった。
主人公の精神科医浅野克哉は、頭脳明晰で美貌の持ち主。彼の周りの誰をも虜にする魅力的な人物だ。そんな彼が、警察の依頼を受け連続殺人犯のプロファイリングを担当することになったのだが、奇しくもその犯人のベクトルも彼に向いてしまう。そしてあろうことか拉致されてしまうのだ。
しかし抗なうことの出来ない悲劇的な状況下でも決して諦めず、生への執着を捨てなかった克哉は、生還を果たし犯人と対峙する事を決心する。その手法は、彼の徹底的なプロ意識からの自己犠牲を伴う過酷な内容だった。
一方で克哉を拉致した犯人は、克哉とは真逆の人間に思えた。同じように裕福な家庭で育ちながら愛と憎しみの狭間で狂気の世界をさ迷っている刹那的な人間なのだ。残虐な行為でしか自分を表現出来ない歪な犯人にこれからどう向き合っていくのだろうか。
最後にもう一人無くてはならない人物がいる。篠原刑事だ。彼が、浅野克哉にプロファイリングを依頼した張本人だが、ミイラ取りがミイラに…。克哉は、仕事上では、冷静沈着な判断をする一方プライベートではナルシストぶりを発揮し大胆で、情熱的な態度に変貌する。特に篠原刑事に対して無茶振りをしては彼を翻弄するのだが、それでもいじらしいほど克哉に一途な篠原刑事が、かわいいと思ってしまった。2巻では、その篠原刑事がストーリーの要となっていたが、その衝撃的な展開に思わず「え❗え~っ‼]」と声を上げてしまった。そして4巻を読了後もまたあれやこれやの疑問を解消したくて最初から読んでしまう。まるでメビウスの輪のように。
この作品は、迫力満点のクライムサスペンスであると同時に素晴らしいBL作品だ。
絶望と希望、諦観と探求、愛情と憎しみ、暴力と救済、読んでいくうちにいろいろな言葉が頭を過った。はたしてIN THEASE WORDSにはどんな意味が含まれているのだろう。興味は尽きない。次巻が楽しみだ。