百と卍
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百と卍

紗久楽さわ

卍兄ィの色気と現パロの破壊力に惚れぼれ

ネタバレ
2022年8月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 2019年にBLで文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞受賞という、BL初の快挙を成し遂げたお江戸BL作品が、この5巻で、足掛け7年余りをかけてハピエンを迎えました(祝)!
読み始めたきっかけは、そういう公的賞を受賞した作品への興味からでしたが、柔らかな、時に力強い線で描かれる艶やかな絵、可愛らしい陰間上がりの百樹の健気さ、元火消しで今笛吹きの卍の色気たっぷりの伊達男ぶりに魅了され、江戸文化への造詣の深さに感心し大好きな作品になりました。
5巻は、それまで物語に切なさを与えていた卍の過去と生家と区切りをつけ、親友にも、自らが隠してきた生き方を打ち明けるという内容の厚みと、絵の密度が最高潮の巻でした!しかも、5巻は卍の正装や、美しい子どもの頃の姿、想像とはいえ、雛人形のような卍まで描かれ、改めて卍の美丈夫振りにうっとり☆
深夜に読み始めて、テンションMAXになった本編読了後、紗久楽先生の、恋愛の自由をすべての人に、のメッセージに続き始まる、百樹と卍が結婚できる現代で2人にそっくりの赤ちゃんと生活する世界のお話。可愛いのに、そのような祈りを込めて描いたお話と思って読んでいるうちに感極まって眠気も吹っ飛びました。
こんな素晴らしい作品が、初BL作品での初連載だったとはプレッシャーはいかほどだったのだろう。受賞時の贈呈理由に、BLや腐女子への差別冷笑的な固定観念を打開するときが来たのではないか、と、BLがスティグマであることを前提とした言葉があるところに、この作品がこの賞を受賞した意味合いが込められていると思う。その後、この作品に続く受賞作はBL部門からは出ていないのです…。さらに千と兆CPで続編が出るそうで、重苦しい展開になりそうだけれど今から楽しみです!
それにしても、こんなに多才な先生がお江戸ばかりを舞台とするのは勿体無いのでは…と思って祥伝社のHPを眺めてて見つけたのが本作のサイトの「ホストパロディ特設ダミーサイト」のバナー。なんだこれ、とクリックしたら、歌舞伎町に卍を代表とするホストクラブWありけり、と。個人的にドタイプのMENSがズラリ!もう目が釘付け。のぞいてみると「姫殺の卍」に会えます(笑)。No.3のホストが続編cpの片割れで太客が相手です。この設定で連載して欲しい!凄いな、現パロの破壊力…。
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