このレビューはネタバレを含みます▼
特攻隊。健全なのに、もうすぐ亡くなると分かっている、異様な関係。体はいなくなっても、いなくならないあなた。愛しても、明日を夢みる事を許されないあなた。分かっていても、突然訪れる死。
私から触れる事はできなくても、あなたは私にふれてくる。田中志津摩の人間臭い、圧倒的な真実を浴びていま、痺れるよう。からだの中に生々しくあなたはいる。
やぎも、田中も、淀野も、もういってしまった。説明の必要も意味もない。死は死。
全ての死の上に、秋の穏やかな光が降り注ぎますように。どうか形見など、残された人の名残でありますように。