COLD
」のレビュー

COLD

麻生ミツ晃/木原音瀬

読めば血となり肉となる名作

ネタバレ
2022年10月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 原作は未読ですが、このコラボは必ず私の血となり肉となると本能が叫んでいました。
現在、体の奥底がグワグワと揺さぶられ四肢の先の先までビリビリと沁み渡っています。

3部作なので是非最後まで追いかけて下さい。
1巻は記憶が無くなった透と保護する藤島のお話の序章と言っていいのではないかしら。
なぜ?どうして?と、伏線が張り巡らされていきます。
藤島の謎めいた葛藤や透の不安、そして2人の恋心がなんとも切ない。
2巻は徐々に謎が明らかになっていきます。藤島の痛みや後悔が読み手の心を抉り、透の過去があまりにも悲惨で怒りが込上げるほど。
3巻。もう痛くて辛くて...作品を手に取ったことに躊躇する気持ちが生まれてしまうくらい、目を背けたくなるくらいの悲しい二人の関係が描かれて行きます。
記憶が分断され遮断され、放り出されたような透の心情。寂しさや不安や、憔悴、怒りがごちゃ混ぜになり叫び出す透が恐ろしくもあり限りなく弱々しい生き物で、あの記憶の中の幼少時代に引き戻されます。
藤島を襲う激しい痛み。心身共に酷い...。どこまでも受け入れて愛する藤島の覚悟がこの作品の柱になっているのだとつくづく感じました。

エンディングもこういう形が最上なのだと思います。
2人の未来におかえりなさいのあの扉があるのだと信じて終わりたい。

作品の雰囲気と麻生先生の画風が素晴らしくマッチングしているのではないかしら。
名作だと思います。
出会えて幸せ、生み出していただけて感謝です。
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