ベネノ書
」のレビュー

ベネノ書

九重シャム

ケモ耳もふもふの優しさMAXの物語

ネタバレ
2022年11月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 毒の物語。タイトルの響きが好きで興味を持ちました。

差別・区別の話になるのですが、異文化間の相互理解を感情有りきで行うのは、例え隣国でも難しいことが多いのは歴史にある通りだと思います。
それを底なしの優しさで実現できる事こそがファンタジーだと思いました。
思い至る言葉は「朱に交われば赤くなる」そして「人は鏡」。
美しい魂を完全に失っていなかった主人公が受け入れられ、そして受け入れて安住の地を得たハートウォーミングなお話でした。

しかし読後に「白河の清きに魚も棲みかねて〜」の一句が頭を過った私はなんて醜いんだろう…と思ってしまいました。
主人公を受け入れてくれた人たちの、言わば他人から注がれる無償の愛に息苦しさを感じたからでしょうか?文明社会を手放せない愚かさからでしょうか?
今作の主人公は他に選択肢が無かったので優しい人々に出会えて良かったです。
私にとっては選択の余地がある人生はとても恵まれているのだと痛感させられた気づきのある作品でした。
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