チ。―地球の運動について―
」のレビュー

チ。―地球の運動について―

魚豊

胸熱。怒涛。意外と軽い。

ネタバレ
2022年11月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人はちっとも進んでないんじゃないか?と思ってしまう。科学技術の進歩はめざましく600年前と現代では当然違う。科学技術の素晴らしき恩恵を受けておきながら恐縮ではあるが、それらは瑣末なことに思う。(いや便利な世の中は本当に大変ありがたいと思う。思うが、なければないで別になんとかなったかなぁとか。)それより、哲学思想宗教倫理、これらの叡智に触れるたびに、ちっとも進んでやしないと思う。何故人は生きるのか、死とは何か、生きるとは何か、それらの答えを模索するたびに紀元前の人間に打ちのめされる。人類は2000年以上かけても2000年前からちっとも進んでいやしない。そのことに絶望しつつも、今作の登場人物たちの綺羅星の如き輝きには胸が熱くなる。フィクションだから確実に彼らが実在したとは言えないが、彼らのような人々は確実に実在していたのだとは思う。そのことに思いを馳せるとうるっときちゃう。
8巻で収束させているためか、登場人物たちのセリフは常に熱い。怒涛の名セリフ。強い言葉が多く、ポンポン話は進んでいく。それが存外読みやすい。
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