このレビューはネタバレを含みます▼
シリーズを本編→OFF AIR→番外編と読んで、文章力と世界観(と言ってもファンタジーではなく現実ですけど、マスコミの世界という意味で)が素晴らしく、まるで自分もその世界に居るような確かな空気感がありました。先生の経歴は知りませんが、もしかしたら実体験(つまりマスコミ出身)では?と思うくらいに設定も描写もしっかりしていたと感じます。毎回の山場で起こる事件・事故も業界特有のもので、難局を乗り換える様子にハラハラドキドキさせられて、とても興味深く楽しく読み進められました。この番外編はスピンオフで、1・2が竜起×深、3・4が設楽×相馬の話になっています。1・2までは本編からの流れを汲んだ感じでほんわか楽しく読めましたが、3・4のカプだけは毛色が違う気がしました。ラストのカプだけ他より年齢層も社会的立場も上というのがあってか、かなりビターなお話でした。基本的なイメージは、どのカプもジグソーパズルの隣り合うピースのようにピタッと合わさって、お互いの凸凹を補い合っているかのようです。そこに絵柄や写真があるとしたら、潮×計と竜起×深は綺麗だったり明るいものが似合うんだろうな。でも設楽×相馬はかなり特殊で、絵も写真もない真っ白なパズル、もしくは雲ひとつない何処までも広がる青空。そんなイメージです。ただ真っ白もただ真っ青も…乱暴なまでに潔く強烈で、とことん読み手に考えさせるような難しさがある気がします。絵も写真も「何もない」ところに強い情念を感じるような、常時モヤがかかったような重々しがありました。それでも相馬や周りのキャラ達の言動には笑わされたし、最後まで読んで良かったです。(実は最初、本編だけ読めば良いやと思っていたので)