有賀リエ連作集 工場夜景
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有賀リエ連作集 工場夜景

有賀リエ

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ネタバレ
2022年12月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「不吉な何かが起きる!」〰レビュー投稿を先にチラッと見たばっかりに、鼓動がバックンバックンしていて、とても怖かったのですが、1巻で完結なのでとにかく読み進めようと・・・。
『パーフェクトワールド』の作家さま。物語の冒頭、恋愛未満の高校生の男女の淡い想いがほのぼの描かれる中、うるさく鳴く蝉が突然、命尽きて落ちてしまう描写では、不安を増幅させるような効果があり、上手いなぁと思いました。
タイトルの『工場夜景』について二人が会話するシーンがあるのですが、無機質なのに故意的な意図がなく、剥き出しなのに本当に美しいというような表現は、物語の核とリンクするようで、比喩としての対比など深いものがあるなぁとの印象を受けます。
犯罪について考えた時、性犯罪って、強盗や傷害などよりももしかしたら、周りに与える影響が大きいのではないかと思い馳せます。
自分の罪では無いものの、十字架を背負った二人が、これから進む道は平坦ではない事でしょう。けれど、本作のラストは、絶望だけではない、明るい光がいつの日か・・・と思わせてくれるような締めでした。
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