日傘ちゃん
」のレビュー

日傘ちゃん

テクノサマタ

時を大切に過ごすことで偶然は必然になる

ネタバレ
2023年1月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻212、2巻246ページ。
初回は2010年、最終回は2018年という、かなりの時間をかけて完結したこの作品。傷ついて全部投げ出して祖父のところに逃げてきた高校生主人公の夏休み期間が描かれています。時間の流れと着実な変化を、実感を伴って見せてくれました。主人公だけでなく、セス側のエピソードも良かったです。
BLジャンルではありますが、エロはありません。エロは、ありません(大事なことなので二度)。ジャンル分類の微妙なラインを綱渡りする感じの作品が好きな、私のようなタイプにとてもおすすめです。
すべての出来事は「偶然」や「どうしようもないこと」で、それによって引き起こされる悪いことも良いことも、時間の経過と本人の意志で「必然」になる。そんな印象です。
ものの捉え方が繊細で真摯。作者さんご本人が「なにかを大切にすること」をよく知っているタイプとお見受けします。特に1巻で触れられた「魂の重さ21グラム」の使い方が非常に好みでした。
おじいちゃん達のアシストや、セスの兄弟の関係性とか、いちいち自分のツボにハマる感じで大満足でした。
物語が終わったその先も、着実に穏やかな幸せを積み重ねていって、気付いたら何十年も経ってそうな二人です。
あと、個人的地雷要素(お相手がパートナーと死別してる)があったのに、何故かこれは大丈夫でした。
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