ルールの染みた身体
」のレビュー

ルールの染みた身体

吉田ゆうこ

感傷に浸らずにいられない

2023年1月14日
レビューの平均が低いので、逆に気になっていた作品です。
それでも吉田先生らしいタイトルが、読む前から胸をざわつかせていた作品でした。

短編集で、繊細なお話ばかりでした。
恋愛未満なストーリーが多いです。
それでも切なさと優しさとが入り混じって心動かされ、それだけで十分でした。
彼らから吐き出される一言の純度が高くて、1話毎に胸がいっぱい。
その一言に触れたくて、何度も読み返してしまいました。

特に描き下ろしの『少女、35歳』。
タイトルで女装の話かな?と思ってしまったんですが、
とんでもない作品でした。
あまりの上手さに、ちょっと軽くショックでした。
これ以外のタイトルは、あり得ないですね…。
そして『ルールの染みた身体』というタイトルも相まって、どうにも感傷に浸らずにはいられなかったです。

こんな作品を描けるのは吉田先生だけで、
そんな吉田先生にとことん惚れ直した1冊でした。
いいねしたユーザ13人
レビューをシェアしよう!