ウルフハウンド【単行本版】【シーモア限定特典付】
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ウルフハウンド【単行本版】【シーモア限定特典付】

芽玖いろは

女に億を貢がせる男が後孔を許すとき

ネタバレ
2023年1月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 青くて苦い、でミヤの後孔を開発して、女を抱いた後、抱かれないと済まない身体にしたホストクラブオーナーの邑さんが現役No.1ホストをしていた頃を描いたスピンオフ。いや、もう邑さんの色気が溢れちゃって序盤から鼻血が出ないか心配になる有様!お仕事ものとして、自分自身を商品とするホストは、美形が登場するのと、色恋で女に金を貢がせる男達がどう本気の恋に堕ちるのかが楽しみで好きなジャンルです。
さて、本作はホスト作品の中でも、邑さんが色恋営業をしても心を痛めなくなった理由が生育歴から異性との関係をお金に換算して考えるようになった場面がじっくりと描かれ、読み応えがありました。私には邑さんの母さんが水商売で生活費稼ぎながら、寂しい思いをさせてゴメンねと伝えているのを見てそこまで酷い人じゃないのでは思ったんだけど(その後にした事は一時的に壊れたからだと思う。アカンけど)、邑さんは金で繋がる人間関係から生まれた事に、アイデンティティの綻びが生じて人間関係も斜めに見るようになってしまったのかなと。
が、その邑さんを慕うホストクラブの黒服の弥勒。登場シーンの首ピアス孔に注目ですよ!後で関連シーンが出てくるんで。こいつが、実は黒髪の好青年で夜職っぽくないのに、完璧に邑さんの忠犬で。なぜ、そんな弥勒が邑さんに従うのか。多分、新しい価値観が広がっていることを見せてくれたからじゃないか。詳しくは本編を読んで欲しいのでネタバレはしませんが、そう感じました。そして、生まれ育った環境がまったく違う家庭環境の下、人間関係を心の通い合いや敬愛の感情で考える弥勒なら、損得勘定抜きで信じられる…そんな風に邑さんが思えたからこそ、女を抱き放題だった邑さんが、母親から受けたトラウマが理由の弱みを握られたことがきっかけとはいえ、特別な思いを抱き後孔を許したんだと思うとゾクゾクします。ウルフハウンドって、狼も相手にする猟犬。邑さんが狼、弥勒が猟犬ってイメージぴったり。邑さん、女の抱き方を教えるためミヤを抱いたけど、男に抱かれるのは初めてなのね…と両作品を行き来して読み返して書き下ろしに感謝。尊い!新宿のNo.1ホストなら億以上稼いでいるハズ。そんな男が堕ちた相手が忠誠と欲情に満ちた目をした年下執着攻めってBLのロマンだよ(涙)!3作の中で個人的ベスト。
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