媚の凶刃
」のレビュー

媚の凶刃

池玲文

My 不朽の名作部門に仲間入り

ネタバレ
2023年2月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み終えました…。媚の椅子から媚の凶刃まで計5冊。ヤクザものBLは他にもいくつか読んできましたが、今まで読んできた作品は甘い方だったんだとわかりました(^^;; 重い!きつい!容赦ない!って感じで、誰かのために死んでもいいという捨て身の精神と、人を殺めることへの躊躇のなさ、報復することの意義など、どんなに相手を深く想っていても、避けられない重いものが常にのしかかってきます。

椅子では、若頭の加賦と、加賦の側で以前仕えていた韮沢が再会し、よりを戻すまでが、凶刃ではそんな2人の出逢いと、恋人編が描かれています。万人にはオススメできないような描写もありますし、エロも含めてハードです。耐性があっても結構ドシンときました。そんなネチ〜っとした愛こそが、唯一無二の名作を生み出したのだと思います。

注目すべきところは、二人の愛のカタチがどのように変化していくかというところ。韮沢はずっと変わらず加賦が全てなので、加賦を救えるなら、加賦の為になれるなら、自分の命なんて平気で投げ出せます。そんな韮沢だからこそ、本当の愛を知った加賦は韮沢を失うのが怖い。しかし、迫り来る敵と渦巻く陰謀の中で、加賦は組長として生きることを選び、韮沢との関係もより強固なものとなっていきます。特にSMOKEは集大成ということもあり、息をつく暇もないほどの疾走感がとにかく素晴らしい!生きるか死ぬか、報復を遂げるか、はたまた裏切られるか、やるせない気持ちの中求め合う二人が儚く美しい…。「どうか二人に未来を」と願いながら読みました。

ヤクザ(組長)としての覚悟をもって、愛する人と生きるということを追究した本作品。池先生にしか描けない、まさに圧巻のストーリーです。韮沢の雌っぷりと加賦の雄っぷりを大いに堪能し、ラストは幸せすぎて涙がホロリ…( ;∀;)ねっとりとした愛が心に響き、爽快感さえ生み出すこの技量の高さに大きな拍手を…!(≧∀≦)
いいねしたユーザ26人
レビューをシェアしよう!