とろけて開いて【単行本版】
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とろけて開いて【単行本版】

しゅがーぺろぺろ

エロスと純愛の波状攻撃に悶絶ッ…!

ネタバレ
2023年3月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLの中でも、官能小説家モノは、豊富な隠語が並ぶ、読んで興奮、見て興奮などスケベ、だけど知的な香りが漂う大好物ジャンル。中でも、官能小説としての文章表現と、それを活かした羞恥心の煽りっぷり、という点で性癖どストライクなのが作者様の「とろけて開いて」なんです。いつかこれを超える作品に出会うかも、と官能小説家ジャンル暫定1位をずーっとキープしてたんですが、結局これを超える作品が現れず、先生の新作をレビューしたのを機にマイ殿堂にお迎えしました!
改めて読んで泣けたのが編集者夏目に小説家獄本が純文学を書くのと引換えに関係を求めるシーン。無茶振りだけど夏目にとっては憧れだった純文学小説家が10年後に官能小説家へとまさかの転身を果たしていた訳で、ほかの例に例えると推しの神的存在だった俳優が表舞台から去って10年後に路上でパントマイムしてる場面に遭遇したとか、推しの漫画家の作品見かけなくなったと思って10年経ったある日、似顔絵描いてくださいって言ったら本人だった、みたいな、え、なんで?あの頃の魂どこ行った?みたいな状況で「…もし、自分の言うこと聞いてくれたら、また表舞台に立つよ」と生命維持装置だった推しに言われたとしたら。そ、それであの頃の魂取り戻してくれんの?って思ったら「時間と労働の対価を貢ぐのと、自分を貢ぐの、どっちでも良くね?」って、グラグラしちゃうかも…と妄想スイッチが入り、獄本の求めに応じる夏目の健気さに感情移入…そこからブレない夏目の一途さと快楽への弱さ、読者には隠しきれない獄本の夏目への特別な感情が身体ほどには素直に伝わらないもどかしさ、合間のエロスと葛藤、純愛と、言葉責めやプレイの波状攻撃で、こちらの感情はグチャグチャに。2巻は逆に獄本が夏目に振り回されているのが小気味良くて、なのにエチエチなシーンもたっぷりで、最後は、作品も身体も全てが一体化するほどに愛しあって、見ているこちらまで幸せに…大団円〜〜(T ^ T)サイコウ…
そして、こちらがデビューコミックスだという先生の、一話一エロの王道BLなのに文学的表現もセンスが良く、単なるエロで終わらず、なぜ獄本が純文学から離れたのかが判明するまで息もつかせぬ構成で読者を引っ張る手腕がお見事で拍手喝采!新作含め、研究熱心で読者に楽しんでもらおうとする熱意の伝わる作品作りが好きだよー!読んでるこちらがとろけちゃう〜(^-^)〜
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