男の花道 Don’t Worry Mamaシリーズ【イラスト入り】
木原音瀬/志水ゆき
「生きていたくない」言葉のチョイスが秀逸
ネタバレ
このレビューはネタバレを含みます▼
シリーズの中で一番好きな作品でした。1作目でリアルの地雷(漫画・小説などフィクションの世界ではまず設定にないので今まで出会わなかった)を踏み抜かれ、2作めでは犯罪まがいの強行手段を見せられ…なかなかしんどいハッピーエンドだった気がします。
それに比べて3作めは、見た目が変わる事で人生が変わって(明るくなるとか自信がつくとか、それ自体は良い事だと思う)ある意味調子に乗ってしまって、本当に大事なものを見失ってしまう気持ちも分かるし、「叶わぬ恋の話」としても泣けるくらい共感できる場面もありました。特に自分の気持ちを抑えに抑えた期間「2年」が実にリアルで、その長さを思うと私まで苦しくなりました。
松尾が言ったセリフ「巨乳がなくたってきっと僕は生きていけます。でも友晴さんがいないところじゃ生きていたくないです。」には感動しました。普通は「生きていけない」というと思うんですが、その言い方だと人頼みな感じに聞こえます。でも「生きていたくない」だと、自分の意志が感じられて強いメッセージを与える…こういった何気ない言葉のチョイスが、天才的に上手い作家さんだなと思いました。
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