舌先から恋
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舌先から恋

百瀬あん

捕食/被食行為の本当の意味は…?

2023年5月14日
準新刊作者さん買い。学校でも人気者な達成先輩(フォーク)×真面目な後輩・稔世(ケーキ)のお話で、表題作のみ全6話+描き下ろしで合計205ページ。この1巻で完結ではなく次巻以降に続くので、完結作品希望の方はご注意を。さて、あん先生の新刊は最近新しいケーキバース。私はケーキバース2作目ですが、オメガバース好きな方は好きな設定だと思います。ケーキバースのフォークは捕食する側なので、オメガバのαと違って必ずしも羨望されるステータスではなく、むしろ犯罪予備軍と呼ばれていたり、ケーキバースという可愛い名称とは裏腹に若干のカニバ要素があるのがオメガバとの大きな違いで、とてもユニークな設定だと思います。といったベースがユニークなケーキバース設定があって、その上で「気持ち良い」と更に甘くなるケーキ。達成が稔世を気持ち良くさせたいと思うのは甘くさせるため?それとも単に稔世を気持ち良くさせたい?捕食/被食行為に「食事」以上の意味があるのか?オメガバでもそうなんですが、バース性の本能と理性が拮抗してその間で揺れる心情描写が醍醐味だと思います。今作ではそれがとても絶妙に描かれていて、達成、稔世両方にとても感情移入できました。また、味覚がなかった達成が「甘い」という感覚を思い出して夢中になる切羽詰まった感が、絵だけでもとても上手く表現されています。この巻はなんだか不穏な形で終わっていますが、もう次巻の発売がとても楽しみです。
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