エクストリームウラメシヤ
」のレビュー

エクストリームウラメシヤ

佐岸 左岸

月夜だけ現れる狭間の物語。

ネタバレ
2023年5月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ ABともに23ページ。最後の3ページで世界観がガラリと変貌します。先生の意図を考えたり、間違え探しをするように読んでしまった。
こちらは絶対にぜーったいにネタバレしないで読んで欲しい。
私はAから読みましたが、理解が不足し、結局は何度も読み返し、何度も照らし合わせ、何度も反芻するので初めに読む順番は関係なかったかもしれない(笑)
読み手それぞれのこれがベストと言う順番が見つかるかもしれません。ちなみに私は【A】からかな。
⇒⇒⇒!ここからネタバレです!⇒⇒⇒
黒猫に黒いスーツの男。夜中の3時の公園で編み物をする男。これは死神的な?魔女的な?などと思考を巡らせました。恋人同士の会話では無いようでありながら口調が似ている。『ばかなの?』の口癖が同じくらいに気の置けない間柄なのだろう故に距離ができてしまった寂しさが感じ取れました。端々に「死」を連想させる会話も進まない時も静寂もこれから迎えるラスト3ページを予感させます。

【A】イルミネーションの下で渡すはずだった指輪、編みかけだったマフラー、生と死の狭間の逢瀬に涙が溢れました。
公園は2人の思い出の場所だったのかな。事故にあった横断歩道を渡る事で狭間の時から現に帰るということなのかも。死を連想させるような黒猫も白猫となって生きている彼に寄り添っているように感じまし...ん?ここまで来てラストの先輩の裸足に違和感。
事故現場に供えられた花は【B】で彼が持っていた花。裸足の先輩、横断歩道の先は真っ暗闇...。もしかしたら横断歩道は現から狭間への道なのか。

【B】じっと話を聞いていた黒猫ノーラが彼となって来世まで一緒と愛を誓う展開!どーして?なんで〜?と困惑しました。【A】から読んでしまった為の弊害(笑)もしかしたらノーラを助けようと事故にあったのかな。彼。猫の恩返し的ファンタジーととらえるとなんて可愛らしいエンドかしら。指輪が光り星やハートが飛ぶ手だけのカットがなんとも可愛らしく【A】の手のカットとの対比が素晴らしい。ラストのオジサンの件を読むともしかしたら昼間はノーラなのかも。だから朝までおしおき?
そして、残された先輩はこの夜を何度も迎えているのかも。「くそっ」というセリフは抗えない恋しさなのかな。

月夜にあらわれる生と死の狭間の物語。
表紙がない構成もそっと始まる感じで好み。
トータル46ページでこの読み応えは凄いです。
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