このレビューはネタバレを含みます▼
切なくて泣いてしまうような本が読みたくて本作を手に取りました。
ストーリーもキャラクターも文章も良くて、しっかりとした読み応えのある作品だったのですが…どうしても、映画化・ドラマ化もされた某有名ミステリがチラついてしまいまして…これは全く違う作品だから!忘れて!と自分に言い聞かせながら読みましたが、新たな展開を読むたびに、頭が無意識に類似点を探るのを止められず…没頭して読めなかったです。無念。
司のキャラクターや境遇は好みドンピシャでして、彼の抱える寂しさや苦悩に胸を痛め、慧介〜頑張れ〜お前の存在が救いだよ〜と祈りながら読みましたが、やっぱりこれはどう頑張っても佐季と司の物語であるなと。結末も理想通りで、これ以上の結末は望めないと分かってはいるのですが、慧介が霞む佐季の存在感。佐季と司の共生関係は非常に良く考えられており凄みがあります。しかしそれゆえに某有名ミステリの強烈なあの2人と印象が被ってしまいました。私の問題ですね。
慧介という人物の背景もなかなか深くてとても良い攻めさんだったので、慧介のキャラが2人を凌ぎ、彼の物語として成り立っていれば、また違う読み方ができたかなと思います。
あと司の庭の描写が素晴らしくて、こんな家に住みたいと思いました。
ところで流さんと日置検事のお話はどれを買えばいいんですか?え?無いの?