妻とセックスレスなので男と不倫しました。
」のレビュー

妻とセックスレスなので男と不倫しました。

うぐいす

これは新世界だわ…

ネタバレ
2023年7月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人生ドラマが見たくてBL読んでるので、女子が絡むBLも地雷じゃない。
けど、同性だけに、描かれ方によってはリアルじゃなさすぎて醒めることもあるよね、なんて考える自分にとって、この作品は、まさに新世界だった、のです。
主人公の店長こと明人の妻、あみは、キラキラオーラ漂う女子なんだけど、2人のSEXを含めた生活の主導権を握っているのはあみ。店長は、あみに求められないことにモヤってる…って!?昭和生まれの自分には、レスって子作りして家族みたいになっちゃって…とか、浮気が原因ってイメージがあるだけに、新世代の描く夫婦像自体が新鮮で。
明人はヴィレ◯ンをモデルにした(作者様も店員さんかと)と思われる本屋の店長で、陽キャのサブカル民。店員&攻めとなる怜史も、色気漂うロン毛サブカル民で、こちらはバイ。実は今も関わるノンケ親友への片想いで満たさない気持ちを抱えた繊細な感性の持ち主で、好感度大なんです。そんな自由さのある職場では、バイそのものは珍しくない。で、互いに満たされていない気持ちを抱えた2人が惹かれあってするキスシーンが、なんともエモエロいんですね…読者からしたら、妻に誘われるのを待っているって描写だけで「…店長、受けっスね…」と判定してしまう美人なのに、初めて求められる快感と温もりの良さに気付いて受けとしての素質に本人が気付いた瞬間に立ち会えるなんて。そして、キスした店長が自分バイかも!と先人のアーティストの名前を挙げて、新世界に立ったかのように喜んでいる姿…これも新しい。でも、もう実際にそう感じる層もいるだろうな…と、ここでもLGBTQの描かれ方の新しさを感じたのです。

今、後ろめたさを感じているのは、攻めのみ。不倫ものながら、ドロドロ感は今のところなし。同じ女性として、周りから詮索されがちな独身から既婚者となることで穏やかな生活が送れるようになる地位を得ながら、SEXも子どもを持つかどうかも全部決定しているあみのニーズを満たしている明人のことをあみが責められる立場じゃないと思うのです。むしろ、明人の隠している虚無感を感じ取って、つけ入ることなく包みこもうとする怜史の優しさが心にしみます。

話ごとのタイトル、小物、本のタイトル、出てくる楽曲もオシャレで、センス良し。この設定でハピエンはあるのかな…でも感性の合う2人で幸せになってくれ!と願うばかり。続きが楽しみな作品です!
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