わたしは司会者 【電子限定特典付き】
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わたしは司会者 【電子限定特典付き】

村上キャンプ

仮面を被って生きる辛さを不穏に淡々と

ネタバレ
2023年7月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作とそのスピンオフの二本立てです。
今作はキャンプ作品の中でも闇深いと言われがちかな?と思います。
しかし、本来の自分はどんなだろう?と悩まずにはいられない苦しい境遇を、BLで表現した人間臭い作品だと思いました。
だからと言って難しくて読みにくいわけではなく、先生がお描きになるに当たり「不穏」を意識されたとのことなので、ぞわぞわするハテナがソコここにあって読み物としてとても面白いです。
受けが下半身にだらしない設定ですが、そうならざるを得ない説得力を感じました。(でもエロい。設定が恥ずかしい方向のエロさです。)
攻めとの初合体時もえろいのですが、攻めの使命感に燃えるモノローグで尊みと可笑しみの両方を感じて不思議な気分になりました。(誉めています!)
最終的に受け攻め両者ともwin-winで良かった!…はずなのに、受けの塞ぎ切れない穴を意識させられ、とてもあとを引くゾワゾワで閉じているところもお見事!!な作品でした。
***
同時収録のお話も別ベクトルで得体の知れない怖さを感じました。
これは、理解できないモノ(こと・人)は何だか怖い、のぞわぞわでした。ジェネレーションギャップに恐れをなす中年の心理を、盛って盛ってBL作品に仕立てたような。表題作との重みとカラーのバランスも絶妙な作品だと思います。
***
もし人生や自分の存在について悩んだことがあるなら、何かしらが刺さる作品ではないでしょうか。
キャンプ先生の素晴らしさを強く感じることができる良作だと思います。
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