このレビューはネタバレを含みます▼
かわい有美子作品をこれまで30タイトルくらい読み、不憫受け大好きな私ですが、そんな私も怯むほどのトップクラスに不憫な受けでした。
マフィアの家で暮らす、アレックス・イェイン・史貴・麻里絵の4兄妹の、恋心や嫉妬が入り乱れる様をじっくりと描いていくのですが、その中でも日系人兄妹の史貴と麻里絵はか弱く無力な存在で、読んでいて辛いシーンが多かったです。
かわい先生の作品は登場人物が大怪我を負うような展開が多く、それは警察だったりSATだったり軍人だったりする彼らの職業ゆえで、危険と隣り合わせを生きるその男っぽさが魅力なのですが、本作はだいぶテイストが違って「かわい先生そんな残酷なこと考えついちゃうの〜」という悲惨さでした。
しかし地獄を見た人間が、その後どう尊厳を取り戻していくのかも丁寧に描かれており、後の名作「墨と雪」に通ずるものがあるなと感じました。
上巻137ページ、下巻139ページ。結末はちょっとバタバタと纏めた感があったので☆4で。