どうあがいても愛
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どうあがいても愛

劣情

男でも女でもどっちでもいいじゃないか

ネタバレ
2023年8月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ ファッションを通じて、主人公まひるが本当の自分や好きなモノを素直に愛せるようになる、そんなお話です。これはBLというジャンルに留めておくのが勿体ないと感じます。

一見するとまひる(受)がヨーヘー好き好きー!!!!って感じだけど、実はヨーヘーくんのが重いと思いますし、徐々に溺愛していく様が素敵です。
ヨーヘーはシャイでまひるとは対称的で、言葉にはしないけれど自らが情熱を注ぐファッションのフィールドで造り上げた【服】をまひるへ贈ることで最上級の愛を捧げているのだと思うと言葉にならん。。。

何かにつけて優劣をつけたがり、人と比べがちな日本人。誰しもが経験したことがあるであろう誰かに『否定された経験』は深く心に根付き、時に人を変えます。良い方向にも悪い方向にも。
そして口にはせずとも、誰かを『否定した経験』もまたあるかと。


制服の文化がある日本は特に帰属性、規律性や統一感を求め、面接にはスーツがベスト、襟付きがベター、派手な髪色はNG、ピアス?タトゥー?何それ怖いと言われます。
ちょっと派手なメイクやファッションを身に纏おうものなら、あたかも珍獣を発見したかのように無断でカメラを向けられる。
そんな経験がある私には、とても刺さる内容でした。


本作ではファッションを通じて、主人公が恥じて隠してきたはずの自分を素直に愛せるようになる。その真っ直ぐさや好きなモノを貫き通す仕事への愛とリスペクトが、互いに上手くリンクして、心地いい相互作用を生み出していました。
これが綺麗に1冊にまとまっている、素晴らしかったです。

ヨーヘーの不器用さに、まひるの明るく素直な性格は好相性なんでしょうね。2人のやりとりにもほっこりできましたし、このカップルはまた見たいと思いました。
ブランドスタッフのカップルも気になるところ…(笑)


性別や人種のボーダーはあっても、そのボーダーのカラーが虹色であればいいなと思います。
素敵な作品を生み出してくださった劣情先生に感謝です。
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