秘密の森の魔術師はのどかを願う 【電子限定特典付き】
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秘密の森の魔術師はのどかを願う 【電子限定特典付き】

蔓沢つた子

蔓沢センセの異世界モノは期待通りだった!

ネタバレ
2023年8月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ #ひみまじゅ…異世界モノは略すと親密味がより増します。
異世界だけれど転生じゃなくて、妖精さんはいなくて、バトルもほぼ無くて。有るのは魔法と王族と西洋の中世風な耽美な世界。この設定がつた子先生のチョイ変態風なキャラ(めっちゃ好き🖤)にバッチリ合った、蔓沢つた子にしか描けない極上のBLに仕上がっています!

魔力BLであるあるの効率の良い魔力の受け渡しは粘膜接触。
この設定を微に入り細にうがってタップリと描かれている嬉しさよ!
表の目的である魔力受け渡しと、実は…な愛の交歓と、余剰派生であるはずの気持ちイイとを、時系列に沿って割合と濃度を変えてきています。
あるある設定を並のあるあるに留め置かない素晴らしき職人技です。
なんと言っても「ワケアリご隠居魔術師」の妖しい魅力がたまらなくツボ!普段は年上受けらしい余裕なのに、いざベッドの中ではいつの間にか逆転して…。。
対する「素直わんこ系美青年」の全方向開放型な人好きするキャラ。CPの立ち姿としても、お互いが苦慮する部分としても、これ以上ないほどにピッタリと吸いついて添います。

特筆すべきは、当て馬くんの存在が胸に切なく響いたことです。
だって何でも察して理解するシャガールなのに、ルソーの気持ちだけは察っせないなんておかしくない?本当に解ってなかったとしたらルソーがより巧みに隠し続けた年月が切ない。それは男気なのか意固地なのか迂闊なのか傲慢なのか。全部ひっくるめてなのか?
逆に途中からは解っていながら無かったことにしたのなら、シャガールのかつてあった恋心も含めて切ないし、優しさなのだし、やるせなさだなぁと思ってしまいます。
ルソーのおかげで平坦になりがちなハピエンを、味わい深く、また複雑な感情を煽られて、読後に引っ掻きキズを残すお話となっていると思いました。

異世界モノは描き込みが多くて大変だったでしょうが、お陰様でこの世界を満喫し堪能致しました。ありがたいです。

当初魔力無しの生活を楽しんでいる描写が、実はそれだけではなかったと終盤で解っちゃうところもエモかったです。でもやっぱり懐かしさもあって…人の心の複雑さを感じ良いお話だったなぁとしみじみ。

あと魔術の発動が、詠唱でも無詠唱でもなく術式で陣を組むってのがマンガ的にすごく映えました!
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