このレビューはネタバレを含みます▼
後味悪いんだろうなと読むのを躊躇していたけど、読み終わってみると辛さと良かったねが混じり合って、思ったよりは重たくなかった。けれどこうして吐き出さないと収まらない消化しきれないモヤモヤは残る。前評判から想像しつつ読み進めても、不穏だけど先は読めないアレコレや存在がリアルすぎる葵兄ちゃん。スーツケースのシーンではまさかアナタなの?と思ったけどそれほどの思いで…という事なのね。
最後まで読んで葵兄ちゃんがあまりにも幼くて無力で福太だけがどれほど救いだったか知ってみると、再会後の口の悪さは大人になった福太より優位に立つ為の虚勢だったんだなと胸を突かれた。追い越されても兄ちゃんで有りたかったしいざという時守りたかったんだよね。その反面、福太にすがりたくて救って欲しくて…。ずっとずっと待ってたんだよ。
この後表面上しか生きて来れなかった優しいいい子の福太を知ってる周りの人達に、この許せない経緯は全て伝わるのか?伝わらなかったら発狂する。親や職場や大家さんには、知ってしまって様子がおかしくなりそして…って思われるのかな。悲しいけれど福太の人生の中で無くした大切な物は全てもう一度手にする事が出来た。事件も全て解明されたんだと思いたい。残された人々の慟哭とは裏腹に二人は幸せになったと信じたい。